top of page

ISAO TSUGE

柘植伊佐夫 
KOOGEN代表 人物デザイナー 衣裳デザイナー ビューティディレクター


1960年東京生まれ。1963年より長野県伊那市に暮らす。1982年に上京。原宿及び青山MOD’S HAIRで美容師として活動。松田聖子、坂本龍一など担当する。1985年以降同社ヘアメイクアーティストを兼任。多数のエディトリアルや広告、東京・パリ・ミラノコレクションを中心に活動する。1990年に第一回日本ヘアデザイナー大賞受賞(JHA主催)、1991年同セッションスタイリスト優秀賞を受賞する。

1995年石井隆監督『GONIN』で初めて映画作品に参加する。本木雅弘氏の推薦により彼が演じる「コールボーイ・三屋の女装シーン」を担当する。1996年写真家清野賀子によるコムデギャルソン青山店エキシビジョン用にマネキンのヘアとペインティングを担当。1998年『フジロックフェスティバル』に初出演したビョークのヘアメイクを担当。同年野田秀樹作・演出『赤鬼 タイバージョン』のヘアメイクプランナーを担当する。美術・衣裳の日比野克彦氏からの紹介であった。後年柘植は野田氏から多くの薫陶を受けたと語っている。

 

1999年手塚眞監督『白痴』でヘアメイク監督を担当。本作で初めて映画全体のヘアメイクを統括する。同年塚本晋也監督『双生児』、2000年庵野秀明監督『式日』でも同職を勤める。柘植はこの三本を重要な作品として「ヘアメイク監督三部作」と呼んでいる。『双生児』では「出演者全員の眉毛をなくす」というコンセプトを打ち出した。

 

2003年庵野秀明監督『キューティーハニー』でヘアメイク監督から「ビューティーディレクター」へ改称する。当時モード誌『VOGUE』で登用されていた「ビューティー業務を統括する職掌」の概念を転用したものである。2005年鈴木清順監督『オペレッタ狸御殿』でチャン・ツイイ、マシュー・バーニー監督『拘束のドローイング9』でビョークのヘアメイクを担当、また作品のビューティーディレクションを兼務する。

 

2008年本木克英監督『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』で「登場人物の扮装を統括する役職」として「キャラクター監修」を担当する。これは前作「ゲゲゲの鬼太郎」の製作過程で「妖怪・半妖怪・人間」の扮装担当分けが煩雑になった経験からプロデューサーが柘植に扮装の統括を依頼した。当初柘植は職務範囲の大きさに固辞したが最後には受けた。これが「人物デザイン」のさきがけとなる。

同年滝田洋二郎監督『おくりびと』のビューティーディレクターを担当。撮影の舞台となる山形県鶴岡市で実際の納棺師の助手に入り葬儀とエンジェルメイクの現場を学ぶ。ご遺体の種類を見聞して作品にふさわしい肌色はどこか基準となるファンデーション色を開発する。本作は第81回米国アカデミー賞外国映画賞を受賞した。同年レオス・カラックス監督『TOKYO!』のビューティーディレクターも担当する。

 

2010年大友啓史演出NHK大河ドラマ『龍馬伝』の「人物デザイン監修」を担当する。大河ドラマで「登場人物全員の扮装を統括する職掌」は史上初めてでこの役職名は柘植のために作られた。当時担当していた福山雅治氏に龍馬役が決まり「柘植さんも参加してもらえないか」と相談を受けたのが参加のきっかけである。出演者全員にコーンスターチをかけてくすんだフィルター効果を表現した「汚し」が話題となる。

 

2012年NHK大河ドラマ『平清盛』を担当する。大河ドラマが平安時代を扱うのは1972年『新・平家物語』以来40年ぶりとなる。本作は平安時代のイメージを覆す作風に当時の最低視聴率となった。一方芸術性の高さに坂東玉三郎の激賞を受けて現在も「名作大河の一つ」と評されている。同年地元である長野県伊那市芸術文化大使に就任。

 

2010年に初の書き下ろし『龍馬デザイン。』を、2012年にエッセイ『さよならヴァニティ』を上梓する。同年「人物デザインの開拓」を評価されて『第30回毎日ファッション大賞/鯨岡阿美子賞』を受賞する。2015年三池崇史監督『喰女~クイメ~』で第9回アジアフィルムアワード優秀衣装デザイン賞を受賞する。

 

2015年から2018年にかけて放送90年NHK大河ファンタジー『精霊の守り人』(全三期)の人物デザイン監修を担当する。上橋菜穂子原作によるファンタジー長編小説シリーズの初実写化である。架空世界を生み出すにあたりアジア圏のさまざまな民族衣装をリサーチし、メインキャスト、エキストラ全てのコスチュームを新たに作った。作品は2017年ATP賞テレビグランプリ総理大臣賞を、2018年制作チームに対してエランドール賞特別賞が与えられた。

 

2016年庵野秀明総監督・樋口真嗣監督『シン・ゴジラ』の「扮装統括」を担当。本作をきっかけにして作品によって「人物デザイン」「扮装統括」「扮装」などのクレジットを使い分ける。

 

2017年三池崇史演出市川海老蔵主演『六本木歌舞伎座頭市』、野田秀樹演出中村勘九郎主演『野田版桜の森の満開の下』の新作歌舞伎を初めて担当する。

 

2018年長野県伊那市に官民協働の団体『伊那市ミドリナ委員会』を企画・発足、委員長に就任する。同市は「ソーシャルフォレストリー都市宣言」を施策としておりそれを推進する指針「伊那市50年の森林(もり)ビジョン」を持っている。50年後の未来に森林資源によって市民に豊かさをもたらすことを目的にしており柘植はこれに賛同、「森・人・美」をコンセプトに「森と人をつなぐ」を目的とする団体を作った。

 

2019年NHKスペシャルドラマ『ストレンジャー~上海の芥川龍之介~』の人物デザイン監修を担当する。全編を上海ロケ。柘植にとって初めての中国チームとの大規模な協働である。柘植はこの作品を非常に気に入り本作はアメリカ国際フィルム・ビデオ祭エンターテイメント部門で最優秀賞Best of Festivalを受賞した。

同年武内英樹監督『翔んで埼玉』の人物デザイン監修を担当する。宝島社編集と会食した際に「今度こういう本を出すんですよ」とパイロット版を渡され、「これ、初版の頃からのファンなんです。万一映画化があるようでしたら是非やらせてください、と魔夜峰央先生にお伝えください」と冗談半分で伝えたところ映画化が決まり原作者からご指名をいただいたのがきっかけである。公開後大きなブームとなった。第23回ファンタジア映画祭アジアン最優秀長編作品賞・金賞を受賞する。

同年4月6日から5月19日まで長野県伊那市の信州高遠美術館において『柘植伊佐夫 UNITY-人物デザインの世界展-』を開催する。過去の大河ドラマ、大河ファンタジー、ドラマ、映画・舞台作品のデザイン画・衣装・小道具・造形等を集めた大規模な展示となった。館内には大友啓史、加藤拓、樋口真嗣、三池崇史、長塚圭史、山口類児が作家について語る動画も流された。

 

2020年手塚眞監督『ばるぼら』の扮装統括を担当する。きっかけは2018年シディ・ラルビ・シェルカウイ演出舞台『プルートゥ』のキャラクタービジュアルを担当した際、初日乾杯の席で舞台の監修を務めていた手塚監督と『白痴』以来再会する。そこで手塚から「またお願いしたい作品があるんですが」と言われ、柘植も「自分も是非やりたい作品があって、実は『ばるぼら』なんですが」と返すと手塚は驚いて「その『ばるぼら』なんですよ」と笑った。伊ファンタ・フェスティバル最優秀作品賞を受賞する。

 

2020、21、22年、荒木飛呂彦原作・渡辺一貴演出・高橋一生主演NHKドラマ『岸辺露伴は動かない』の人物デザイン監修を担当する。本作の制作にあたりプロデューサーと脚本家のみが決まった段階で声をかけられた。演出渡辺氏とは『龍馬伝』『平清盛』からの盟友であり、最初の打ち合わせで氏から「この漫画原作を実写化したいために演出家になった」という言葉を聞き「そのような作品の初期段階から声をかけていただけて非常に光栄だと思った」と柘植は語っている。実写化が難しいとされた本作は視聴者から評価され20年度第58回ギャラクシー賞奨励賞、21年1月度月間賞を受賞する。

 

2022年野田秀樹作・演出『Q:A NIGHT AT THE KABUKI』の美粧を担当する。本作は19年初演の再演になる。ロックバンド「QUEEN」の名作アルバム「オペラ座の夜(英題:A NIGHT AT THE OPERA)」から着想を得てハムレットと源平のモチーフを散りばめながらシベリア抑留によって引き離された恋人たちの話を紡ぎ戦争の愚かさと愛の尊さを説いている。柘植はビューティーディレクターとしてデザイン画を送りクィーンより許諾を得ている。

2023年NHK大河ドラマ『どうする家康』の人物デザイン監修を担当する。前回担当の『平清盛』以来11年ぶり、織田信長や武田信玄など演劇的な要素の強い扮装が話題となる。庵野秀明監督『シン・仮面ライダー』の扮装統括・衣裳デザインを担当。NHKドラマ『岸辺露伴は動かない』から発展した映画、渡辺一貴監督『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の人物デザイン監修・衣裳デザインを担当。新宿の新劇場「シアターミラノ座(THEATER MILANO-Za)」のこけら落とし公演シディ・ラルビ・シェルカウイ演出『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』のビジュアルディレクター/衣裳デザイナーを担当。

2025年、著作『美人』(サンマーク出版)を上梓する。人物デザインのノウハウを詳細に述べた「人物デザイン論」、各界著名人による柘植とのエピソードや自身の美学のインタビュー集「審美録」、柘植が考える美人像を説く「美人論」の三章によって構成された626ページの作品である。著名人は51名に及び、俳優篇は、杏 飯豊まりえ 江口のりこ 小栗旬 香川照之 北川景子 木村文乃 小泉今日子 白石加代子 高橋一生 竹中直人 土屋太鳳 寺島しのぶ 奈緒 二階堂ふみ 長谷川博己 古川琴音 古田新太 松嶋菜々子 松たか子 松本潤 松本若菜 松山ケンイチ 三上博史 森山未來。クリエイター篇は、庵野秀明 石塚慶生 大友啓史 加藤拓 佐藤祐市 シディ・ラルビ・シェルカウイ 柴田岳志 城定秀夫 滝田洋二郎 武内英樹 塚本晋也 土橋圭介 手塚眞 長塚圭史 野田秀樹 樋口真嗣 菱川勢一 日比野克彦 三池崇史 水田伸生 宮本亞門 村橋直樹 山口類児 山崎貴 渡辺一貴、という参加者である。また「あとがきにかえて」として福山雅治との対談を収録する、柘植伊佐夫の集大成の書籍である。

tsugeロンドン.jpg

近影

ビダル&柘植.png

1990年第一回JHA大賞受賞。
ヴィダル・サスーン氏と。

マシューのコピー.jpeg

2005年マシュー・バニー監督
『拘束のドローイング9』

おくりびと.jpeg

2008年「おくりびと」
米国アカデミー賞外国映画賞

鯨岡賞.png

2012年第30回
毎日ファッション大賞/鯨岡阿美子賞

マカオ2.jpeg

2015年第9回アジアフィルムアワード
/衣装デザイン賞

スクリーンショット 2024-03-16 14.10.02.png

2019年柘植伊佐夫 UNITY
ー人物デザインの世界展ー

IMG_6586.jpeg

2019年NHK
『ストレンジャー~上海の芥川龍之介』

岸辺露伴は動かない.jpeg

2020~23年NHKドラマ
『岸辺露伴は動かない』

忠勝のヤクの毛.jpeg

2023年NHK大河ドラマ
『どうする家康』。

著書「美人」.png

2025年
著作「美人」

©2025 KOOGEN LLC.

bottom of page